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2012, 夢の庭画廊コメントより
宇宙にはいくつもの秘密がある。異次元世界が私達の三次元空間を取り巻く巨大な時空であることを最近理論
物理学者は立証したが、その謎を解くカギは重力にあるという。何とも魅惑的なわくわくする刺激的なことだろ
うかと考えながら、またこんなことも言われてきている。宇宙を構成する素粒子の在り方と精神意識の在り方が、
量子力学によって証明される特定の姿であるボースアインシュタイン凝縮体というものにより、同一の物理過程
を共有するという。また何とも不思議なことかと思いながら、私は日々の制作を通して科学的世界認識ならぬ絵
画的世界認識を行っていることになるのだと思っている。
精神と物質との対話は相互の働きかけによりどちらかが優位に立つことなく、私達は私達自身であると同時に、
私達と他者あるいは社会、世界、宇宙に対する諸関係そのものであり本質的に結びつきを持ち、関係、関与、影
響しあう。そして、それは一つの凝集した世界へとつながっていく。
まさに相互浸透という概念が作品制作を通して導き出されてきたと思うが、そこから派生して中間領域の確か
な力強さ、ダイナミックな結びつきそれは本当に様々な分野にも当てはまると考えられる。
最近は少し人間社会にも眼が向けられることとなった。薬は人類の歴史と共に自然界からあるいは人工的に造
られることによりずっと使用されてきた。薬はその症状の程度により慎重にその分量を見極めなければならない
が、わずかな違いで死に至る危険を伴う。しかし、その適正範囲(中間領域)においては見事にその効力を発揮
し人体と薬の力強い対話が行われる。何が現実かいなかわからない不安感いっぱいの範疇に身を置かれることも
ある一方、ある領域においては安心感に包まれ、まるで人間社会の縮図がそこにあるようにも思えるのである。
2009. 関口美術館展覧会コメントより